本日は札幌に出張。雨男の異名通りのドカ雪だ。今夜は上司だった方の送別会幹事を仰せつかっている。
東京に戻れなくなると大変と早めに空港に移動した。決して会議がつまらないとかお土産を買う時間が欲しいからではありませんのでそこんとこ宜しく。
予約してた前の便が遅延、空席があり変更手続きをしてそそくさと乗り込んだ。座席は前が広めの搭乗口横のキャビンアテンダント(以下CA)前の窓側席。3人掛けで真ん中の席は空席だ。
CAの前というのは目が合ったりするとなんとなく気恥ずかしく、ひとめ惚れされたりすると面倒なので避けているのだが足元は広くなかなかいいではないか。
空港内は除雪作業のためか乗員乗客が揃ったものの飛行機はなかなか動かない。「勝手にしやがれ」スカイオーディオの一曲目が終わったあたりでなんとなく機内が緊張感に包まれ始める。ふと後ろの方で雰囲気を察したように幼児が泣き出した。子供だけで旅をするジュニアパイロットという制度で搭乗してきた子らしい。パパが千歳空港までおくってママが羽田に迎えに来るという仕組み。
CAが一生懸命あやしている。「・・・・それじゃおねぇちゃんのそばに座っていこうね」という声が聞こえたかと思ったら私の隣にドカッと男の子が置かれるように座らされた。ジュニアパイロットは中央の4人がけ席に決まっている。そこからCAは自分の前の席にあたる私の隣の並びの席に連れてきたのだ。
ベテランらしいCAは窓側に座る私と通路側に座っているハードボイルドなサラリーマンにすまなさそうにお願いしますねと目配せをして離陸の準備に入った。
ハードボイルド・サラリーマンは巻き込まれては大変と思ったかスポーツ新聞をこれでもかというくらいに広げて顔を突っ込むようにして没頭し始めた。そこ全面求人広告頁だよおじさん・・。
子供の健やかな成長を支える某国家的協議会の理事でもある私としては隣でヒクヒクしている子供を黙って見て見ぬフリをするのはできるはずもなく政治・経済・文学歴史の10などの中から得意領域で話かけることとした。「ボクいくつ?」「5しゃい」
「ポケモン好き?おじちゃんの会社にルージュラによく似た人が・・」そこから彼が感傷的にならぬよう約2時間、あの手この手で絵本でナゾナソをつくったり銀座でうけた簡単なマジックをやったりして微妙なコミュニケーションをとり続けるのでした。
ときおりCAが飴やポテチを持ってきては「おねぇちゃん羨ましいなぁ~」とか言ってあやしていく。こっち向いて言わないように。どうでもいいけど自分のことをおねぇちゃんというのはムリがあるよ。。
ムーミンにはスナフキン、アンパンマンにはジャムおじさん、鬼太郎には目玉親父、と子供の冒険にはコンビを組む大人がつきもの。あぁ俺もそんな役割側に来ちゃったんだなと思いながら不思議な友情のようなものを感じたあたりで羽田に着陸。
彼は乗客全員が降りるのを待って最後にCAとママのところまで連れて行ってもらうことになっている。
座席の前のドアが開いた。 バイバイキンと握手しながら、また飛行機の中で会おうなと約束。俯いている顔を覗き込むと今にも彼は泣き出しそうだった。
そこでもう二度と会えないんだななんて寂しい気持ちが沸いてきて思わず彼を抱きしめた・・・・ってなことはなくて、これから迎えにきているママに会ったとたんにこんな出会いはすぐ忘れちゃうんだろうなと出会いや別れに慣れちゃったおじちゃんはこれから向う送別会での挨拶の言葉を無理やり考え始めてタラップを折りかけたら足を滑らせてこけたのでした。。振り返ると彼はこっちを指差してコロコロ笑ってた。。めでたしめでたし。
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